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歯周病治療Periodontics

歯周病というとても
身近な疾患
FAMILIAR DISEASES

歯と歯肉の境目に汚れが残っていると、多くの細菌がそこに付着し歯肉のふちが炎症を起こして赤くなったり腫れたりします。歯周病はこのような細菌の感染によって病態が悪化し、放置すると歯を支える骨や歯の周りの歯ぐきが溶けてしまう炎症性の細菌感染症です。

さらに進行すると膿が出て歯がグラグラしてきて、最後には抜歯となります。歯科の調査によると、15歳以上の約77%の人が歯周病にかかっており、患者数に換算すると 8,500万人以上とも言われるとても身近な疾患です。

糖尿病など
全身状態との関連性

歯周病は全身の状態と密接にかかわっています。どのような人が歯周病になりやすいかを説明しながら、ご説明します。

CHECK 歯周病になりやすい人

  1. 歯みがきが不十分で
    虫歯がある人
    Insufficient brushing
    of teeth

    虫歯がある人は歯に歯垢が付いて口内が細菌でいっぱいの場合が多く、歯周病のリスクが増大します。

  2. 糖尿病の人 Diabetes

    高血糖のために唾液の分泌が低下し細菌増殖や白血球機能低下を生じるため歯周病リスクが高くなります。

  3. タバコを吸う人 Smoker

    歯ぐきの血行不良や唾液の分泌低下により、喫煙者は歯周病になりやすいことが知られています。

  4. 口呼吸の人 Mouth breathing

    口の中が乾燥するため、白血球の機能が低下し、歯周病にかかりやすくなります。

  5. 顎関節症など、
    歯ぎしりをする人
    Oral disease /
    bruxism

    歯ぎしりをすると歯に大きな力がかかり、歯や歯ぐきへのダメージが歯周病を悪化させます。

  6. 歯並びが悪い人 Bad teeth alignment

    歯がみがきにくく歯垢が残ってしまうので、歯周病のリスクが高くなります。歯並びは加齢とともに悪くなるので注意が必要です。

  7. 降圧剤、免疫抑制剤などの薬を飲んでいる人 Taking certain medicines

    これらの薬は末端のうっ血や浮腫を引き起こし、歯ぐきの腫れを生じさせ、歯周病の悪化につながります。

STEP 歯周病の進行と症状について

歯周病はほとんど自覚症状のない状態が長く続き、あっという間に進行してしまいます。少しでも違和感があったら受診して悪化を防ぎましょう。

  • 初期の症状

    • 歯ぐきが腫れる
    • 歯みがきの時に出血がある
  • 軽度症状

    • 噛むと痛い
    • 歯ぐきが下がってきた
  • 中等度症状

    • 歯ぐきから膿みがでる
    • 歯ぐきが赤くはれて痛む
  • 重度の症状

    • 歯がぐらぐらする
    • 食べ物が噛みづらい

歯周病の治療

治療の基本は歯に付着した細菌の塊である歯垢や歯石を毎日のブラッシング(セルフケア)や歯科医の処置(プロフェッショナルケア)で取り除くことです。歯肉の奥にたまった汚れが基本治療だけで除去できない場合は「歯周基本治療」を行うこともあります。治療後に口内の状態が改善でしたら以降はメインテナンス(定期的なクリーニングと検査)で維持し、改善が認められなければ再度治療というように、治るまで治療と検査を継続します。歯科で行う基本治療としては以下の3つがあります。

  • スケーリング

    手用や超音波など様々なスケーラーという専用の器具を使い分けて歯石をきれいに除去します。歯石が付いたままの歯は表面がザラザラしていて歯垢がたまりやすく、歯周病リスクが高くなるからです。

  • ブラッシング指導(TBI)

    TBI(Teeth Blushing Instruction)とは、プラークの除去を目的に、一人ひとりの患者さまに適したブラッシング方法をご指導することです。歯周病は、細菌感染症かつ生活習慣病であるため、毎日のプラークコントロールが大変重要になります。

  • 咬合調整

    上の歯と下の歯がしっかり咬み合うように歯を調整することで、特定の歯にだけ過剰な負担がかかる状態を修正します。咬み合わせが悪いと特定の歯にだけ負担がかかり、次第にズレていくため、歯と歯茎の間に隙間ができます。すると、その隙間に歯周病菌が入り込んでしまうのです。

SURGERY 歯周外科

外科手術による治療で歯周病を治療します。例えば、歯周ポケットの深さを減少させる手術や、 歯周病で失われた骨を再生させる手術などを行います。

  • フラップ手術

    歯周ポケットを改善するための手術で、歯周ポケット内に残存した炎症性組織を除去し、スケーリングやルートプレーニングなどで歯垢や歯石を取り除きます。

  • 歯周組織再生療法(リグロス)

    リグロスの成分である細胞を増やす成長因子の作用により、歯周病で破壊された歯周組織の再生を促進する治療法です。フラップ手術の後に歯槽骨の欠損部にリグロスを塗布し、歯周組織の再生を促します。

  • 移植(グラフト)

    インプラントを入れるための骨が十分にないときは、骨の移植が必要になります。インプラント治療における骨の移植・造成を行うことをグラフトと言います。

歯周病Q&A

  • まずはその歯がどのようなレベルまで進行しているかを精査する必要があります。できるだけ抜歯せずに残せるか模索していきますが、無理に残しておくと周囲の歯や歯根に悪影響が出たり、いずれその歯を抜歯した際に入れ歯治療等に不都合が生じる可能性もあります。従いまして、そのようなケースでは、十分な検査と患者さまへのご説明のもと、治療方針を決定します。

  • 歯の間を塞いでいた歯石がなくなり、炎症が鎮まって歯ぐきの腫れがひいたので歯ぐきが下がったように感じられたと思いますが、これは歯茎が正常に引き締まってきた証拠です。すき間が開いた歯には金属やセラミックのかぶせ物で対処することも可能です。

  • お口の臭いは主に揮発性硫黄化合物(メチルメルカプタンや硫化水素)が原因と言われています。歯周病菌はたんぱく質を分解する過程でこのガスを作り出すため、口臭として嫌なニオイになるのです。歯周病が進行すると、この臭いの原因成分が活発化してきます。
    また、歯の根元まで歯周病が進むと骨を溶かし、その周りの組織は膿となってお口の中へ漏れていきます。膿漏臭と呼ばれる悪臭です。歯周病がすべての口臭の原因とは言えませんが、大きく関係しているといってよいでしょう。