歯を守ることを
第一に考えた虫歯治療PROTECT YOUR TEETH FIRST
エナメル質に覆われた歯は非常に強固ですが、虫歯治療のために一度でも削ってしまうと、骨折や擦り傷のようにはもとには戻せません。削った部分は人工物で補いますが、補綴物と歯を繋ぐ接着剤は経年劣化するため、できた隙間から虫歯を繰り返してどんどん歯を削っていくことになるのです。
当クリニックでは歯の寿命を可能な限り維持するために、治療に必要な歯だけを丁寧に削り、精度の高い補綴物の作成により隙間を極めて小さくする取り組みを行っています。歯の神経を保存するためのMTAセメントや、神経を抜いた後の歯の感染リスクを抑えるラバーダム防湿法を駆使して、患者さまの歯を安易に抜かない治療を提供するのが、当クリニックの方針です。
STEP 虫歯の進行と症状について
虫歯は進行段階によって症状が異なります。
ご自身の症状を知り、早急な受診が必要か否かをご判断するのにお役立てください。
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脱灰 Decalcification
虫歯菌が糖を取り込んで排出する酸が、歯の表面を覆うエナメル質を溶かし始めた状態を“脱灰”といいます。まだ痛みなどはなく、きちんと歯を磨いて定期的にフッ素塗布をしていれば、治療をする必要もありません。特徴としては、部分的に歯の透明感が失われ、白く濁った状態になっています。
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エナメル質の虫歯 Enamel cavities
酸による歯の溶解が進み、エナメル質に灰色や薄茶色の浅い穴が開いた状態です。穴が脆くなっているのに加え、汚れや細菌が溜まりやすい状態であるため、小さく削ってハイブリッドレジンを詰める治療をするのが一般的です。特に痛みはないため、治療時に麻酔注射をする必要はありません。
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象牙質の虫歯 Dentin caries
虫歯がエナメル質の内側にある象牙質へ達し、冷たいものや熱いものがしみる、噛むと歯が痛いなどの症状が現れ始めます。溶けて穴の開いた部分が黒くなるため、鏡で見ても虫歯があることが一目瞭然です。この段階になると虫歯の進行スピードが一気に速くなるため、できるだけ早く治療を受ける必要があります。
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神経まで進行した虫歯 Caries that has progressed to the nerves
虫歯が進行して歯の神経が炎症を起こし、激しい痛みを引き起こしている状態です。冷たいもの、熱いもの、甘いものがしみる、歯が脆くなって欠ける、痛みで眠れない、風が当たっただけでも歯が痛い、口臭がきつくなるなどの症状があります。神経を維持できないため、抜髄して被せ物を装着する“根管治療”が必要です。
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残根 Residual root
歯茎から上に出ている歯が虫歯で溶けて、歯肉に植わった根の部分だけが残った状態が“残根(ざんこん)”です。根の中が細菌汚染されており、血管を通じて全身にむし歯菌が回るリスクがあるため、ほとんどの場合で抜歯が選択されます。噛まなくても歯がずきずきと痛みますが、虫歯菌によって神経が死んでしまった場合には、痛みを感じなくなることもあります。
痛みの少ない治療
虫歯の治療で最も痛みを感じるのは、処置前の麻酔注射だといわれています。当クリニックでは、歯肉へ表面麻酔を施した後麻酔が効いていることを確認した上で、極細の針を使って注射を行っています。
流れ作業的に短時間で注射を行うと、針が刺さる際の痛みが強くなってしまうため、十分に時間を置いて麻酔の浸透を確認することが重要です。また、皮表面ウォーマーを用いて麻酔液を体温と同程度に温めることで、温度差による痛みを与えないようにしています。
根管治療
根管とは、歯の神経や血管が通る管のことをいいます。根管治療は、その名の通り根管内を処置することです。虫歯が進行して汚染された歯の中の組織を、ファイルという針金状の器具で除去して、根管内をきれいにします。その後、根管内を殺菌洗浄し、防腐剤を緊密に詰めた上に土台を構築した上で、仕上げに被せ物を装着して噛む機能を回復させます。
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ラバーダム
ラバーダム防湿法は、治療する歯をゴムの膜で隔離して、治療中に唾液などが中に入らないようにすることで、細菌感染を防止する器具です。主に根管治療で用いられ、治療後に歯の根の先に膿ができたり、歯の内側で虫歯が再発したりするのを防ぎます。より精度の高い治療を行うために根管治療においては非常に再発予防効果の高い治療法です。
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ピエゾサージェリー
三次元超音波振動を利用することで、神経や血管などの軟組織へダメージを与えず歯や骨だけを切削できる機器です。
根管内の洗浄や、歯の根の先に病巣ができて切除が必要になった時にも用いられています。 -
MTA
虫歯に感染した神経の一部分だけを取り除き、MTAセメントによって蓋をして神経を保護することを、断髄といいます。症状によっては用いることができませんが、適用できる患者さまにとっては神経を残すひとつの選択肢になりますので、当治療法をご提案することもあります。